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ハンティングタワーとジョン・バカンについて

ジョン・バカン John Buchan

1875年8月26日〜1940年2月11日（64歳）

1915年に発表されたリチャード・ハネイを主人公とする「三十九階段」は、サマセット・モームの「秘密諜報部員」とともに、後のスパイ小説の原型を作ったといわれています。

イギリスの小説家、歴史学者、弁護士、ジャーナリスト、戦地特派員、外交官、軍人、政治家、実業家として活躍。男爵。父はスコットランド・フリー・チャーチFree Church of Scotlandの牧師。母方の祖父は羊飼い。

グラスゴー大学で古典や数学を学び、オックスフォード大学では法律の博士号を取得。ボーア戦争後の南アフリカで、1901年(26歳)から2年間、高等弁務官ミルナー卿のプライベート・セクレタリーを務めています。帰国後はトーマス・ネルソン&サンズ出版社の共同経営者として、また「スペクテイター新聞The Spectator Newspaper」の編集者として、出版業にも携わるようになりました。1907年(32歳)に結婚、4人の子供をもうけています。

妻がウエストミンスター公爵のいとこでもあったことから、著名な縁戚を多数持つようになり、 アスキス首相夫妻、アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領、また文学界ではミルナーやホールデン、ヒュー・ウォルポールやヘンリー・ジェイムスとも交流がありました。

第一次大戦が起きると、タイムズ紙の戦地特派員としてフランスに赴き、その後入隊、更に情報部で重要な地位を担うことになります。1915年(40歳)には「アラビアのロレンス」として知られる、T・E・ロレンスらとともにメソポタミアに赴き、トルコ軍との交渉にもあたっています。

1927年(52歳)には保守党の議員として国会に進出。

1935年(60歳)にカナダ総督に任ぜられ、1940年髭を剃っている最中に脳内出血で倒れ、亡くなっています。第二次大戦へのカナダ参戦に署名してまもなくのことでした。

オックスフォード大学出版のオックスフォード・ワールド・クラシックスOxford World's Classicsには、ジョン・バカンの作品は「緑のマントGreenmantle」、「三十九階段The Thirty-Nine Steps」、そしてこの「ハンティングタワーHuntingtower」の3作品がリストアップされています。

「三十九階段」は1935年(ヒチコック)、1959年、1978年に映画化され、2008年BBCのクリスマス・スペシャルで放送されたリメイク版は、より原作に近いものとされています。

またロンドンの劇場では2006年から、アメリカのブロードウェイでも2008年から上演され続けています。

「ハンティングタワー」も、1922年に出版されて以来のロングセラーで、2008年にはオックスフォード・ワールド・クラシックスを始め4社から出版されています。

1927年には、原作とはかなり違うイメージのようですが、ハリウッドで映画化され、チャップリンが主人公マクーン氏の役を是非にと望んでいたというエピソードが残っています。

イギリス国内では1956年TV(30分もの)、1957年と1978年にTVシリーズ化されています。