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遺稿集

房子・・・
かぎりある命を偲んで・・・
肝臓がんと過ごした日々

著者 / 吉田勲
サイズ:四六判
製本:ソフトカバー
ページ数:162ページ(カラー+モノクロ)
発行日:2009年9月1日
はじめに

最近、六十一歳で紅白初出場、オリコンでは史上最年長で一位を獲得した、秋元順子さんという歌手の方がいらっしゃいます。彼女のヒット曲「愛のままで・・・」のフレーズに、

『あぁこの世に生まれ、巡り合う奇跡、すべての偶然があなたへと続く・・・』とあります。

この世に生まれたこと自体がまさしく奇跡であり、そしていろいろな人間と巡り合っていく・・・その中でも妻となる女性とはひとかたならぬ縁というものがあると思われ、これまた奇跡ということでしょう。

そしてこの奇跡の連鎖の果てに、私の妻は鬼籍に入りました。人が生まれるのも奇跡なら、また、死ぬるのも奇跡。分かってはいますが、ふと、私と出会ったがためではないのかと考えることがあります。私と出会っていなければ、また違った人生が彼女には用意されていたことでしょう。

私は忘れてはならないと思いました。房子という存在を、そしてその人生を。短い期間でしたが、十六年という歳月を伴に生きてきた証しとして、晩年の病魔との闘いの中での出来事や思い、また感じた事を、ここに書き記しておくことにしました。