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旅行記

それでも恋するグアテマラ
ダンディ中年不良オヤジ、山賊に襲われる!

著 / 上川内嘉久丸
サイズ:四六判
製本:ソフトカバー
ページ数:192ページ
発行日:2010年6月24日
価格:1,500円(+消費税)
ISBN:978-4-903935-38-6
販売終了しました。
内容紹介(一部)
5 世界遺産都市・アンティグア

何度来ても飽きない街である。4年連続で訪問しても新鮮味がある。ここには定宿がある。ポサダ・キンタという6ドルの宿に泊まるのを常としている。中に入ると「オラ!」というオームの甲高い声が出迎えてくれる。

顔なじみのオヤジに、「おら、また来たぞ」と東北弁的挨拶で抱擁。1泊だけで去るつもりでいたが、オヤジの喜んでいる姿を見ると、つい2泊分の金を渡してしまった。部屋の番号はどういう訳か、いつも13号室になる。

ここでやることは、まず3週間以上も着ている服をクリーニングに出すことだ。3時間くらいで仕上げてくれる信頼できる店に走る。移動ばかりが続いたので、満足に洗濯もできなかった。衣服が汚れてくると、それもストレスの原因となる。

アンティグアは素敵なカフェテリアが多いので、レストランやカフェのはしごがとても楽しくなる街だ。入り口は平凡でも、中に入ると思わず息を飲んでしまうパティオ(中庭)がある。ナイト・スポットも多い大人の街である。

香り高きグアテマラ・コーヒーを1ドル以下で飲めるカフェが、各街角に必ずあり、コーヒーがなくては生きていけないボクにとっては天国である。ニカラグアもコーヒーの産地であるが、すべて海外に輸出され、現地を旅する者が、インスタントしか飲めない、というのは悲し過ぎる。

アンティグアは世界遺産都市であるので、見るべき観光名所も数多い。4年連続して訪問しているのに、いつも新しい発見がある。今回は大きな噴水で有名なメルセー教会で遊んだ。小さな三脚を持参しているので、カプチナスやサンタ・クララの修道院でも「カメラ・アイ」を求めて移動するのは、知的作業に思えてなかなかよろしい。

時計台(EL ARKO)は都市の象徴。そこに通じる道は「歩行者天国」ともなり、かなりの観光客が集まり、民族衣装を着たストリート・ミュージシャンが競い合う。本書の表紙の踊りが下手な「踊る少年」もチップを投げて、ここからいただいた。

マリンバの演奏が、どこにいても聞こえて来る。おすすめはポサダ・デ・ドン・ロゴリコのオーケストラ的演奏だ。ここはホテル($60もするのでもちろんボクには縁がない)だが、誰でも無料で入れ、緑あふれる中庭のすてきなベンチに腰を下ろし、ドリンクなど取る必要もなく、何をしていても(ボクは本を読んでいるが)苦情は来ない。

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昨年マリーナとここに来た時には、民族衣装を身に着けた男性の門番がいた。マリーナは「あら、いい香り」と言って香りの元を探ったら、門番から発している。ボクは顔と性格は悪いが、鼻(形ではなく)には自信があった。ところが、その香りはマリーナの香水に消されて、ボクには届かなかった。

さすが、サンフランシスコの美容院経営者である。香りに敏感だ。美女から褒められた門番は職場を放棄し、早速、その香水秘蔵庫に案内し、サンプルを取り出して、マリーナの手の甲にかけ、「どうだ?」と胸を張った。さらに「こちらの香水も悪くない」と、マリーナといる時間を引き伸ばすために、門番はいつの間にか「香水セールスマン」に成り果てた。

数種類の香水の名をメモしたマリーナは、それから「香水探し」に奔走した。
 ショッピング! それは女の天国の歓喜、男の地獄の恐怖。ボクは女の買い物につきあうよりは、アフガンに派兵される方を選ぶ。この辺から我々の仲にはヒビが入り始め、数日後には、いとも簡単に崩壊した。以上は昨年のお話。

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さて、現実に戻ろう。夜になると、調子が悪くなってきた。薬は飲んだ。なのに、なぜこんなに寒いのであろうか? 5時半に部屋に戻って来たが、ライブを聞きに行く元気も、夕食を摂る意欲も出てこない。シャワーは冷たいであろうから、もちろん浴びられない。

やることがないから爪を切った。爪をきり・・・と考えていたら、放哉が出てきた。

爪切つたゆびが十本ある

夜の9時頃、急に「さしこみ」が来た。悪寒もする。金がないから医者には行かんぞ。そうだ、今こそ「正露丸」を飲むべきではないか? 持参している冬物をすべて着込み、毛糸の帽子で頭まで防寒して、海老のように折れながら朝までのたうち回った。


それでも恋するグアテマラ 本文画像