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旅行記

旅はトラブル
ダンディ不良オヤジ、危機一髪!?

著者 / 上川内嘉久丸
サイズ:四六判
製本:ソフトカバー
ページ数:192ページ(モノクロ)
発行日:2009年11月2日
価格:1200円(+消費税)
ISBN:978-4-903935-25-6
販売終了しました。
内容紹介(一部)
4 プラハ射撃練習場(チェコ)

私は実弾射撃が大好きである。よく新聞に載るのが「日本の現職警官ピストル持ち帰ろうとして逮捕」の記事だ。逮捕された人のコメントも決まっている。「射撃を練習しているうちに、愛着が湧いて・・・」の気持ちは痛いほどよく分かる。

私もプラハでは週二ぐらいで練習していた。もちろんR君という人が同伴でなければ入れない。R君はチェコの友人で警察に強いから頼りになる。厚いヘッドホーンを掛けて、人間の上半身が描いてある標的を撃つ。

「なめんなよ、課長」 ズド〜ン。
「いいかげんに、金かえせ、藤井」 バ〜ン。
「そろそろ、俺の女になれ、フジコ!」 ル・パ〜ン。
 スカッとしてストレス発散に良いが、こういう邪念が浮かぶ時は集中力に乏しい。

競技が近くなると、東郷カクマル、またの名をコルク13(ワイン通でコルク抜きの名人)と呼ばれる私は、上記の邪念を捨て、標的を狭めて、その誤差を修正してゆく。そして偶然にも、教えてくれたR君も抜いて二位になったことがある。

私がアジトとしているホテルのオーナーが、ある日ロシア人を紹介した。ユーリーという、初老に見えたが中年の禿げた男であった。
「日本人のカクさんだ、ロシア語もチェコ語も話せる。それに、射撃がうまい。仕事をしないで乗馬と射撃ばかりしている」と紹介された。
「私も射撃をやります。明日にでも腕試しを」とユーリーは言い、「ビール飲み放題」を賭けることになった。

練習で五十発ぐらい撃つ。試合は十発で標的を撃ち、得点が多かった方を勝ちとする。ホテル・オーナーは練習では撃ったが、本番は自信がないと言い、見物に回った。
 スタートは私。ゆっくり、正確に撃った甲斐があって、全て的に当たっていた。心臓に近いほど得点が高い。ユーリーは私の得点をカウントして、「君より一ポイントだけ多く取る」と言い、十発を撃った。私は標的が手元に戻って来るまではカウントができないので、まだ負けた気はしていなかったが、ユーリーは今晩はビール飲み放題だ、とすでに浮かれていた。

いい勝負だと思ったが、一点差で負けた。その弾の痕を見て、こいつには勝てない、と思った。それは上半身の部分を一回だけ打ち抜き、残りは私より一ポイント超すために計算して撃ったのだ。私は背筋が寒くなった。オーナーは言った。
「ユーリーは同じポイントを十回撃てる。だが、このやり方だと、同じ穴に十発入っても得点 が分からないので」
 オーナーはユーリーの腕を知っていたのだ!
「いったい、奴は何者だ」私はオーナーに聞いた。
「ロシアのKGBだ、モスクワから来ている」
私はまた背筋が寒くなった。何でそんな奴が私の周りにいる!


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