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闘病記

二本の木 夫婦がん日記

作者 / 小沢爽・千緒
サイズ:A5判
製本:ハードカバー
ページ数:177ページ
カラー+モノクロ
発行日:2007年秋
はじめに
二本の木 画像
油絵「寄り添う二本の木」 F20 2001

妻は、2005年の初秋に小細胞肺がんを発症し、一年九ヶ月の闘病生活の末に、力尽きた。これは、その間の夫婦の日記を綴った冊子である。世間的には不幸な歳月だろう。がん関係の本には、結局死亡に終わる闘病記は読んではいけないという忠告がある。気力を損ない免疫力を落とすからだと言う。だから、今この記録を手に取っている方が、もしがん患者なら、ここでこれを閉じて欲しい。

私は妻に遅れること一年余り、2006年晩秋に胃がんとなった。いわゆる後追いがんである。妻を失った時、私は心身のエネルギーを使い果たしており、何をする気力も体力も残っていないように感じた。やがて、妻の死後はじめて彼女の日記を読み、慰めと励ましを貰った。めくっていると、妻の声が生き生きと耳によみがえった。妻の言葉は私の日記にも書きとめてあるので、二人の日記をまとめておこうかという考えが生まれた。

しかし、それに何の意味があるだろうかとも思った。医療問題を追求する気はないので、社会的意味はない。作業目的不明のままに、それでも実際に日記の整理をはじめてみると、これは良い作業だった。何より今日一日の目前に小さい目標が生まれて、独り暮らしの空しさがまぎれた。何も考えずにただ山野を歩く時の心地よさに似ていた。ああ、これはオレの心のリハビリなのだと思った。作業中は体の不調も忘れることが多かった。

そのうち、せめて子らには読んで貰おうと、読みやすくまとめようという気になった。また、病気でお世話になった方々に、ご無沙汰のご挨拶代わりにこれをお届けしようかという考えも生まれた。そして、妻の絵を、悪戯描きを含めて入れてみようという欲まで出てきた。この冊子は、そんな風にずるずると生まれた。

やっぱり不幸な闘病記と見る人もいるだろうし、老夫婦ののろけ話に過ぎないと見る人もいるだろう。私としては、夫婦の心の揺れを辿ったつもりである。真に私的な記録だが、ご覧いただければ幸いです。