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半生回想記

脊髄損傷者が綴る半生回想記
今ひとたびの旅立ち

著 / 出口臥龍
サイズ:A5判
製本:ソフトカバー
ページ数:232ページ
発行日:2011年12月19日
価格:1,500円(+消費税)
ISBN:978-4-903935-70-6
ご好評につき、完売いたしました。

出口様は他にも書籍を作られています。


小説


内容紹介(一部)
初めての海外旅行

大学紛争も不完全燃焼に終わり、
濡れた焼けボックイがプスプスと音を立ててくすぶっていた。
世は平穏を取り戻し、再び繁栄に向け誰もが邁進していた。
こんな日常を苦々しく噛みしめながらも、何するともなく過ごしていた。
まともな就職口とてなかった。
コネを頼りに映画産業に潜り込もうと根回しはしていたが、
目指した映画会社も倒産した。

当時、私とカアチャンは京都に住んでいて、
着物地の絵付けをしていた彼女の収入で生活していた。いわばヒモである。
こんな生活をいつまでも続けるわけにはいかない、との思いが募っていたが、
ある時、単身東京に戻って椎名町のしもた屋風安アパートにころがりこんだ。
職はすぐに見つかったが、写真家の助手。給料六千円。
こんなもんで二人暮らせるはずもないが、ここを足場にまた探せばいいや、
と若いがゆえの極楽トンボであった。

助手生活は一年続いたが、仕事の内容よりも精神的に参ってしまった。
アシスタントと言えば聞こえはいいが、実情は徒弟制度の極みで、
なんで大学まで行って、
こんな使い走りのようなことばかりせなあかんのや、と馴染めなかった。
同期だった増田が同じころ上京し、
錦糸町のアパートで寝泊まりしながらCMプロダクションに通っていたが、
二人して呑み屋にたむろし己れの不遇をかこっていたものだ。

そんなある日、突然カアチャンが東京に乗り込んで来た。
それはまさに、乗り込んで来たと言う表現がぴったりの登場であった。

酔いつぶれて早朝アパートに戻ってくると、
三畳一間の万年床にカアチャンが鎮座ましましていたのである。
直後の修羅場については書くに忍びないので割愛する。

いったん京都に戻り、荷物をまとめて本格的に東京に引っ越すことになった。
荷物なんてほとんどないと思っていたのに、それでもトラック一杯の量になった。

(以下略)