風物誌 | 私の丹後風物誌
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著 / 前田研二
- サイズ:A5判(H210xW148mm)
- 製本:ハードカバー
- ページ数:134ページ
- 発行日:2024年2月20日
内容紹介(一部)
まえがき
(前略)
「私の丹後風物誌」の現場は、終戦直後の食糧難の冬に、長女と長男を伴った両親が京都嵯峨から、やっとの思いでたどり着いた父の故郷で、翌年に生まれた私が中学を終えて淡路島へ引っ越すまでの十六年弱の間に、感じ、見、聞き、体験したもろもろの記憶を、思い出と共につづったものです。あかりが完全に電気に変わってから、学校や電気屋の店頭でチラつく白黒テレビを見始めた頃までのことでした。
(以下略)
節分
毎年節分に父は本堂で護摩焚きをした。夕方になると豆まきを済ませ、村の人達を迎えた。囲炉裏が焚かれ、幾つかの部屋に火鉢が置かれた。お参りの後、子ども達は甘酒を、大人はお酒を飲んでいた。季節の分かれ目と言うものの、当時は雪のあることが多かったし、寒い季節であった。袈裟を着け、お坊さんらしい父の姿を見るひと時であった。
(以下略)