俳句集 | 道程

書籍画像「道程」

著 / 三浦富喜代
編集 / 三浦高志

  • サイズ:四六判
  • 製本:ソフトカバー
  • ページ数:294ページ
  • 発行日:2018年2月4日

内容紹介(一部)

還暦を迎えて

若かりし時、私たちは好んで「偶然」とか「運命」とか「宿命」とかいった言葉を口にしてきた様な気がする。幸運な時、不運な時、それらをすべて偶然が生んだこと、或はそのような運命だったのだと、たいして逆らうこともなく甘受していた様に思う。

だが六〇才にもなると、自分の生活や日々の生き方が、偶然とか運命とか宿命とかが生んだものではなく、他ならぬ自分自身が選択してきたもので、いつとはなしに現在の自分の生活を作り上げたものであることに気付くのである。

(以下略)

1994年(平成6年・59歳)

春愁や 学舎跡地に ビル三っつ

冬の池 餌まく老母の 手音なし

救急音 吾子は無事かと 桜に問う

パンジーに うらおもてある 日暮れかな

句作の本 買い来し息子に 月朧

柳手に 別れし橋を バスは行く

母の日の 日がさほしそな カーネーション

万緑に そびえる塔や 黙すのみ

(以下略)

道程

俳句をやってみて面白いと思うことは、助詞一字替えただけで秀句になったり駄句になったりするところで、改めて五〇音や言葉の魅力に驚かされている。色に寒暖があるように、言葉にも温度があるように思われる。俳句は十七音の短詩であるからこそ、尚のこと言葉の持つ温度があらわになって来るのだろう。

作句する時、平明な表現で、内容は深くを心掛けているものの、思うばかりでその難しさに嘆息することが度々で、それ故にこそ、計り知れない魅力に引きずられてきた。しかし遅々として上達せず「日暮れて道尚遠し」の感を深くするばかりだ。

(以下略)

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