小説 | 水の琴─諸葛亮物語

書籍画像「水の琴」

著 / 青山 静

  • サイズ:A5判
  • 製本:ソフトカバー
  • ページ数:170ページ
  • 発行日:2019年3月20日
  • 価格:2,000円(+消費税)
  • ISBN:978-4-907446-83-3

ご好評につき、完売いたしました。

内容紹介(一部)

はじまりは、ここ

その会も期待はずれでした。何とない倦怠感に、客たちの去った会議堂に当主はひとり座長の席を立ちもせず、手あそびに打ち込んでいました。先頃人から贈られた野牛の尾を旗飾りにしようと編んだり結んだり…ひとつ事に打ち込む作業がいやな思いをいっとき追い払ってくれることを手が知っていました。

…と、こう、やることは鬱鬱としていますが、この人、歴とした戦国武将で名は劉備、字は玄徳。時は後漢末。幾多の戦いを切り抜けて紀元二世紀の中国に広大な領土を手にしました。と行きたい所ですが、残念ながら今なお人に寄寓の身にて、荊州領主・劉表の出城・新野をわずかに預る無冠の英雄。気がつけば、まもなく五十の扉を叩こうという年齢。苦節二十八年を果実なく逝かしめた悔恨が重たい。嘆けばとめどなく落ちこぼれてゆく。わずかに残る矜持までもなくしそうな不安を、手仕事が魔法のように消してくれました。

(以下略)

小亮物語

この青年。諸葛亮。字は孔明。のち、劉備の帝業を実現させた不世出の功臣にて、王佐之心有、と宋代の儒者をして言わしめました。

劉備が劉邦の屋敷から戻った頃、諸葛亮は隆中の居宅に着きました。用が済めば長居は無用。この時の彼はあっさりしたものでした。

(以下略)

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