歴史書 | 明治長崎清国水兵暴行事件
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著者 / 橋本秀一
内容紹介(一部)
一 長崎県令交代
「去る十六日長崎公園内にて盛大な送別の宴を催していただき感謝の至りに候。いちいち参上しお礼申し述べるところ、かれこれに取り紛れおり、略儀ながら新聞紙をもってここに陳謝候也。 石田英吉」
送別会参加者に対する石田英吉の礼状が、明治十九年(一八八六年)三月十九日から三日間、長崎の新聞鎮西日報の広告欄に掲載された。
石田英吉は、明治十六年から長崎県の県令を務め、前月二月十五日の内閣の辞令により元老院議官に転出した。
(以下略)
あとがき
いまの日本で長崎事件といえば、昭和三十三年(一九五八年)五月長崎市の浜屋百貨店で開かれた中国物産展で、中華人民共和国の国旗が、右翼によって引きずりおろされた長崎国旗事件を指すことが多い。
だが、いまから百三十年前におきた、もうひとつの長崎事件、即ち「明治長崎清国水兵暴行事件」について知っている日本人は、きわめて少ない。偶然だが浜屋百貨店は、清国水兵暴行事件当時の長崎警察署の跡地に建っている。
(以下略)