自分史 | 吾が航跡

書籍画像「吾が航跡」

著 / 山内 正規

  • サイズ:四六判
  • 製本:ソフトカバー
  • ページ数:140ページ
  • 発行日:2017年7月12日

内容紹介(一部)

幼き日の記憶

私が幼時の頃の一番古い記憶は、おそらく生後二年半頃、すなわち明治三十八年六月頃の間であったろうと思うが、日本海海戦後の祝賀会か何か、大変なお祭り騒ぎがあったことが印象に残っている。その頃の楽隊のまねをして、玩具の太鼓をたたきながら家の前の道路を行き来しているのを近所の人々が、「なかなか良い格好だ」と褒めていたと、後日母が私に語ってくれたことがある。

その後、たぶん三歳位だったと思うが、お手伝いの人に連れられて川向こうの小高い丘に蕨か蓬かを摘みに行った時、どうした弾みか大きな石が転げ落ちて来て、私の左足の親指の爪を剥がしてしまった。大泣きし、背に負ぶってもらって帰ったが、全快に十日以上かかったように思う。三男坊の私は、それまであまり家族の者から大事にされた記憶はなかったが、怪我をした途端に皆が、大事大事に扱ってくれたので思い切り甘えた。もっと長く怪我をしていればいいなと子供心に願ったことを今でも思い出す。当時は私の下に次女がいたが、私は意識して母によく何かをせがんでは、忙しく立ち働く母の後を追って歩いた。母はほとほと困った顔をして「こんなに言うことをきかないのなら、他所へ行ってしまうよ」と叱られたものである。

(以下略)

あとがき

父がいつ頃から自分史を書き残していたのか分かりません。没後20数年が経ちました。私の手元に「大事なもの」と記された封筒を預かったまま、月日が経ちました。

若かりし頃の思い出を、寡黙がちだった父から直接聞く機会は、あまり多くなかったと思います。

(以下略)

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