小説 | ワンダーボーイ
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著 / メザキエイコ
内容紹介(一部)
転校生
私と知代は教室の窓から顔を出し、知代は校庭を、私は校門の方を眺めていた。朝の校門はおもしろい。色とりどりの生徒がほんの2、30分の間に入ってくる。
美術部の私としては描いてみたいモチーフの一つである。知代が早朝練習をするバスケット部の渡瀬君を眺めるのにつき合っていたが、朝、早いのも、すてきな発見ができて楽しくなってきた。
(以下略)
1
朝、高校生の一日は、はじまる。
「ね、数学の宿題やった? むずかしかったよね。」
百合に聞かれる。
「やったけど‥。写す?」
私が答える。
「サンキュー、恵梨って、やさしいね。」
私が数学のノートを出して、百合に渡す。
(以下略)