私小説 | 脳梗塞

書籍画像「脳梗塞 私は品定めされた」

著 / 来生 一

  • サイズ:四六判(H188xW127mm)
  • 製本:ソフトカバー
  • ページ数:118ページ
  • 発行日:2021年11月30日
  • 定価:1,100円(本体1,000円+税10%)
  • ISBN:978-4-910118-31-4

販売終了しました。

内容紹介(一部)

突然悪魔がやってきた

その日は、奇しくも、私の七十一回目の誕生日である二〇二一年二月二十六日でありました。前日、私はいつものように、ほどほどにお酒を飲み、夜の十時頃就寝しました。確か、夜中の二時頃だったと思います。私は寝返りが打ちたくて、体を右側に向けたのです。しかし、体は右に向いたのですが、左足だけが右に寄って来なかったのです。私は、「あれ」と思いながら、もう一度自分の身体を左に向けて、再び寝返りを打って、右を向いたのであります。しかし、やはり左足だけが右側に寄って来ません。私はこの時、眠りから殆ど覚めていて、意識もかなりあったので、自分の身体の全身の血が、瞬く間に引いていくのを今でもはっきり覚えています。

(以下略)

最後に

私は、脳梗塞という病になってしまい、悔しくて、情けなくて、今でもこの病を患ってしまった事が、信じられないのです。

私が脳梗塞になってしまった私の誕生日である二〇二一年の二月二十六日の朝の二時まで遡ってみました。もしもこの時、私が脳梗塞の疑いがあると気が付いて、救急車を呼んで、病院に行けたとしても、果たして今の私の後遺症が、どこまで軽く済んでくれたかは、誰にも分かりません。しかし、私は、「あの時、救急車を呼んで病院に行っていれば、もっと後遺症が軽く済んでいたのに」と、身体の後遺症による痛みが生じるたびに思うのであります。それに、私の父親が、クモ膜下出血と脳梗塞に侵されてしまった経験から、私は、父親と同じような病にだけはなりたくないと、常日頃、自分自身の身体に人一倍気を付けて来たのに、それでも病を発症してしまったことが、悔しくてならないのです。

(以下略)

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