家族史 | 九十六歳の記憶

書籍画像「九十六歳の記憶」

語り部 / 金子洋子
書き手 / 金子貴俊

  • サイズ:A5判
  • 製本:ソフトカバー
  • ページ数:110ページ
  • 発行日:2018年2月18日

内容紹介(一部)

まえがき

(前略)

そこで、我々有志だけでも集まろうと、「紫会」といういとこ会をスタートし、現在七名ほどで月一回の昼食会を楽しんでいます。この書は、その席での思い出話も含め、最後の語り部となった母から聞いていた、当時の出来事を繋ぎ合わせて記述しました。

祖父母の馴れ初めから始まって、時代の激流に奔走され、数奇な運命を辿った長女。その人生は、時に金子家の一人として想い入れも強く、小説風に表現しました。そして、それぞれの家庭を築いた姉弟、男女七人の物語と続きます。

(以下略)

心配と不満

長女が銀座中学を卒業する頃になると、通学で片道十分ぐらいを歩く間、気がかりな事が起き始めた。待ち伏せしていた男衆から、すれ違い様に幾つもの付け文を袂に入れられ、新たな親の心配事になっていたのだ。

そして、日本橋の三越にライオンの青銅像が飾られ話題となり、長女も父親に連れられて見に行った時だった。正面玄関の人集りを分け入って、長女が最前列に立つと、ライオン像に向かっていた見物人の視線が、十六歳の長女にも集まったのだった。

(以下略)

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