著作権の基礎知識

著作権とは、知的財産権のひとつで、著作物を創作した時に著者に発生する権利です。同じ知的財産権でも、特許権や実用新案権、意匠権、商標権などの産業財産権は、登録しなければ権利が発生しませんが、著作権は著作物を創作したときに自然に発生するものですから、権利を得るために何の手続きも必要ありません。

著作権によって、著作物の利用は著者が独占することになるので、自分の書籍に他の人が書いた書籍の一部などを引用するときは、著作権を持つ人から許諾を受けなくてはなりません。営利を目的としない書籍の場合、簡単な紹介をする程度であれば問題はありませんが、それでも参考文献として明記することは、著作者としてのマナーといえます。数ページにわたる引用を行うなどの場合は、元著作者に了解を得ることが必要です。

では、自分が書いた著作には著作権があるのか? この問いに対し、社団法人著作権情報センターのホームページ上の説明文をご紹介いたします。「上手下手で権利が発生したり、しなかったりということはありません。人のマネでなく、その人の思想や感情が創作的に表現されていれば、たとえ3歳の子どもの絵も小学1年生の作文も立派な著作物」とあります。ですから、ご自分の著作物を他人に勝手に利用されたときは、逆に著作権者として利用の中止や損害賠償を請求することができます。

なお、著作物とは、あくまで人が創作したものでなければならず、「富士山の高さ○○メートル」といった客観的なデータは著作物には含まれまれせん。また、著作物は、ひとつのアイデアを具体的に表現したものであって、アイデアそのものも著作物には当たりません。

[著作物の種類]

  • 言語の著作物
    論文、小説、脚本、詩歌、俳句、講演など
  • 音楽の著作物
    楽曲及び楽曲を伴う歌詞
  • 舞踊、無言劇の著作物
    日本舞踊、バレエ、ダンスなどの舞踊やパントマイムの振り付け
  • 美術の著作物
    絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置など(美術工芸品含む)
  • 建築の著作物
    建造物自体(設計図は図形の著作物)
  • 地図、図形の著作物
    地図と学術的な図面、図表、模型など
  • 映画の著作物
    劇場用映画、テレビ映画、ビデオソフトなど
  • 写真の著作物
    写真、グラビアなど
  • プログラムの著作物
    コンピューター・プログラム

[二次的著作物]

  • 上記の著作物(原著作物)を翻訳、編曲、変形、翻案(映画化などで)し作成したもの

[編集著作物]

  • 百科事典、辞書、新聞、雑誌、詩集などの編集物

[データベースの著作権]

  • データベース

[著作物であっても、著作権がないもの]

  • 憲法その他の法令(地方公共団体の条例、規則含む)
  • 国や地方公共団体の告示、訓令、通達など
  • 裁判所の判決、決定、命令など
  • 1~3の翻訳物で編集物で国または地方公共団体の作成するもの

人格的な権利と財産的な権利

著作者の権利は、人格的な利益を保護する「著作者人格権」と財産的な利益を保護する「著作権(財産権)」の2つに分けられます。

  • [著作者とは]

    著作者とは、「著作物を創作した人」のことです。一般に、小説家や画家、作曲家など創作活動を職業としている人が著作者と考えられがちですが、年齢やプロの如何を問わず、文章を書いたり絵を描いたりすれば、それを創作した人は著作者ということになります。共同著作物については、共同で創作に寄与した者全員が、ひとつの著作物の著作者となります。

  • ※法人著作(職務著作)

    通常、創作活動を行った個人が著作者となりますが、新聞記事や公務員の報告書などのように会社や国の職員などによって著作物が作られた場合、職員個人ではなく、会社や国が著作者となる場合があります。これを法人著作(職務著作)といいます。次の要件を満たす場合に限り、法人等が著作者となります。

    • 法人等の発意に基づくもの
    • 法人等の業務に従事するものが職務上作成するもの
    • 法人等が自己の名義で公表するもの
    • 作成時の契約、勤務規則に別段の定めがないこと
  • [著作者人格権について]

    著作権法では、「著作者の権利(人格権)」として、「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」の3つの権利を定めています。また、これらを侵害しない行為でも、著作者の名誉を害するような著作物の利用は、著作者人格権を侵害する行為と見なされるので注意したいものです。著作者人格権は、その人の人格を保護する権利ですから、著者以外の人に譲渡したり、相続したりすることはできません(一身専属権)。この権利は、著作者の死亡によって消滅しますが、氏名の変更や内容の改変などが自由になることには問題があるので、著作者の死後も著作者人格権の侵害となるような行為は禁じています。

    • 公表権

      自分の著作物でまだ公表されていないものを公表するかしないか、するとすれば、いつ、どのような方法で公表するかを決めることができる権利

    • 氏名表示権

      自分の著作物を公表するときに、著作者名を表示するかしないか、するとすれば、実名かペンネームかを決めることができる権利

    • 同一性保持権

      自分の著作物の内容または題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利

  • [著作財産権について]

    著作財産権には、「複製権」「上演権・演奏権」「上映権」「公衆送信権・伝達権」「口述権」「展示権」「頒布権」「譲渡権」「貸与権」「翻訳権・編曲権・変形権・翻案件」「二次的著作物の利用権」があります。著作者人格権が一身専属権であるのに対し、著作財産権は、その一部または全部を譲渡したり、相続することができます。譲渡、相続後の著作権者は、著作者ではなく、著作権を譲り受けたり、相続したりした人ということになります。

    • 複製権

      著作物を印刷、写真、複写、録音、録画などの方法によって有形的に再生する権利

    • 上演権・演奏権

      著作物を公に上演したり、演奏したりする権利

    • 上映権

      著作物を公に上映する権利

    • 公衆送信権・伝達権

      著作物を自動公衆送信したり、放送したり、有線放送したり、また、それらの公衆送信された著作物を受診装置を使って公に伝達する権利

      ※自動公衆送信とは、サーバーなどに蓄積された情報を公衆からのアクセスにより自動的に送信することをいい、また、そのサーバーに蓄積された段階を送信可能化という。

    • 展示権

      美術の著作物、未発表の写真の著作物を原作品により公に展示する権利

    • 頒布権

      映画の著作物を複製物により頒布する権利

    • 譲渡権

      映画以外の著作物の原作品や複製物を公衆に譲渡する権利

    • 貸与権

      映画以外の著作物を複製物の貸与により公衆に提供する権利著作物

    • 翻訳権・編曲権・変形権・翻案権

      著作物を翻訳、編曲、変形、翻案する(二次的著作物を創作する)権利

    • 二次的著作物の利用権

      著作物を翻訳等した二次的著作物についての原著作物の著作権者が有する二次的著作物の著作権者と同等の権利

保護期間とは

著作権の保護期間とは、著作権の発生から消滅までの期間のことをいいます。保護期間は、著作者の権利を認め保護することが大切である一方、一定期間経過した著作物については、社会全体の共有財産として、自由に利用すべきであるという考え方に基づいて設けられたものです。著作権の保護期間は、世界160ヶ国以上が締結するベルヌ条約(文学的及び美術的著作物の保護に関する条約)により、原則として「著作者の生存期間及び著作者の死後50年」としなければならないと規定されています。日本でもベルヌ条約の規定に従って、著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後50年までを著作権の保護期間と定めています。また、ベルヌ条約では、より長い期間、著作権を保護することも認めているため、50年を超える保護期間を適用している国も数多くあります。ちなみに、欧州諸国やアメリカでは、死後70年を保護期間としています。日本でも、映画の著作権保護期間が、2004年施行の改正著作権法で50年から70年に延長されました。

保護期間の計算方法

保護期間は、著作者が死亡した年の翌年1月1日から起算します。ただし、法人や団体名義の著作物の場合は、著作者の死亡日がはっきりしないため、著作物の公表日の翌年1月1日から起算します。また、著作者が不明な場合も公表日を基準として起算します。なお、保護期間中でもその著作権の相続人がいないときは、著作権は消滅します。

著作物の種類と保護期間をまとめると以下のようになります。

実名(周知の変名を含む)の著作物 死後50年
(死後50年経過が明らかであれば、そのときまで)
無名・変名の著作物 公表後50年
(死後50年の経過が明らかであれば、そのときまで)
団体名義の著作物 公表後50年
(創作後50年以内に公表されなければ、創作後50年)
映画の著作物 公表後70年
(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年)

著作物を利用する際、具体的な疑問が生まれた場合は、法律の専門家に相談されるか、著作権関係打団体にお問い合せすることをお薦めいたします。

著作権全般 社団法人著作権情報センター(CRIC)
出版 社団法人日本書籍出版協会
出版物複写 社団法人日本複写権センター(JRRC)
文芸 社団法人日本文藝家協会
脚本 協同組合日本脚本家連盟
協同組合日本シナリオ作家協会
写真 有限責任中間法人日本写真著作権協会(JPCA)
美術 社団法人日本美術家連盟
音楽 社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)
レコード(CD等) 社団法人日本レコード協会(RIAJ)
実演家 社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)
放送 日本放送協会(NHK)
一般社団法人日本民間放送連盟
ビデオ 社団法人日本映像ソフト協会(JVA)
株式会社日本国際映画著作権協会(JIMCA)
教育映画等 社団法人映像文化製作者連盟
コンピュータ・ソフトウエア 社団法人コンピュータソフトウエア著作権協会(ACCS)

以下は、社団法人著作権情報センター「著作権Q&A」からの抜粋です。

アイデアは著作物ですか?

著作物とは他人が知ることができるように外部に表現されたものをいいます。ですから、アイデア自体は著作物ではありません。ただし、アイデアを解説した解説書は著作物となります。

標語、キャッチフレーズ、題名などは著作物になりますか?

標語、キャッチフレーズのようなものが著作物として保護されるかどうかは、一概にいえませんが、通常は保護されないと考えられます。もちろん、一口に標語、キャッチフレーズといっても、その内容は様々で中には著作物といえるものもあります。著作物かどうかは、標語、キャッチフレーズといった表現形式によって決まるものではありません。同じような観点から題名も通常は著作物として保護されません。

名画の複製写真も写真の著作物として保護されますか?

たとえばピカソの絵を写真複製しても、その写真について新たな著作権は発生しないと考えられています。機械のメカニズムを利用して被写体を忠実に再製することだけを目的とする絵の複製写真は、そこに新たな創作性がなく、著作物とは認めがたいからです。もっとも、ピカソの絵の複製写真の利用には、ピカソの著作権が働くことに注意する必要があります。なお、彫刻を写した写真については、立体的なものを平面的なものにどう表現するかという点に創作性が認められる場合が多いことから、彫刻を写した写真の多くは著作物といえます。

民話、伝説などを「聞き書き」したものも著作物ですか?

古老などの話す民話、伝説などをそのまま書き写した場合、あるいは話の大筋はそのままで、枝葉において多少の修正増減を加えただけのような場合は、そこに新たな創作性は認められず、書き写した者の著作物ではありません。一方、古老などから聞いたのは民話、伝説などの骨子だけであり、それを基に物語にふさわしいストーリー性、表現を加えて民話、伝説などを書いた場合は、そこに新たな創作性が認められるので新たな著作物になります。しかし、修正増減を加えただけなのか、それとも新たな創作性が認められるものであるかの判断は微妙で、個々の事例に従って判断するしかありません。

共同著作物とは何ですか?

2人以上の人が共同して作った著作物で、各人の著作した部分を分離して利用できないもののことをいいます。したがって、著作権の行使に当たっては、共同著作物の著作者全員が共同して行うことになります。

コンピュータ・プログラムやデータベースは著作物として保護されますか?

1985年(昭和60年)に行われた著作権法の一部改正で、コンピュータ・プログラムが著作権法で保護されることが明確にされました。国際的にも、著作権法でプログラムを保護することが一般的です。また、データベースの著作物については、1986年(昭和61年)の改正で、その保護が明確化されました。

著作権を得るためには何か手続きが必要ですか?

著作権は、著作者が著作物を創作したときに自動的に発生します。したがって、権利を得るためにどんな手続きも必要ありません。

他人の著作物を使う場合、どのような場合であっても修正を加えてはいけないのですか?

著作者には同一性保持権があり、その同意なしには著作物に修正を加えることは許されません。ただし、著作権法では、教科書に掲載するために用字・用語を変えることや建築物を改築・改修すること、プログラムを利用上の必要に応じて変更することなど著作物の性質、利用の目的及び態様に照らしてやむを得ないと認められる場合の修正は許されるとしています。

原稿の買取りは著作権の譲渡になりますか?

買取りの契約に際し、著作権を譲渡する旨が当事者間で明確にされていない限り、著作権の譲渡にはならないと考えられています。また、「買取」という用語は、業界によって解釈に差があるようで、特に口頭の契約で処理した場合には、後日に紛争になる可能性も考えられます。契約の際には文書で結び、著作権の譲渡を前提としている場合は、「AはBに著作権を譲渡する」などの条項を定める必要があると思います。

翻訳物を使う場合に原作者の権利も働くのですか?

翻訳物などの二次的著作物の利用については、原作者の権利も働きます。つまり、翻訳物を出版する場合には、翻訳者の許諾だけでなく、原作者の許諾も必要になるということです。

テレビ番組を再編集し自分の授業で使う教材を作りたいと思いますが、問題はありますか?

学校そのほかの教育機関においては、教師は授業に使うために著作物を複製することができます。しかし、このような場合であっても、著作物の内容を勝手に改変するなどして利用することは、著作者の同一性保持権を侵害する場合がありますので注意が必要です。

共同著作物の著作権は誰が持っているのですか?

共同著作物の著作権は、その著作者全員が共有することになります。ただし、その行使は、原則として著作者全員の合意に基づき行わなければなりません。なお、映画の著作権は、著作者である監督等が共有するのではなく、法律の定めによって映画製作者(映画会社)に帰属します。

自分のホームページに、有名な画家の絵をアップロードすることは問題がありますか?

著作物をホームページにアップロードする行為は、公衆からその著作物をアクセス可能(送信可能化)にするとともに、アクセスがあれば実際に著作物の送信を行うことを言いますが、この場合公衆送信権が働くこととなりますので事前に、著作権者の許諾を得る必要があります。なお、この公衆送信権は、送信の有無にかかわらず、送信可能化になった時点で権利が働きますので注意が必要です。

手塚治虫さんの作品はいつまで保護されますか?

手塚治虫さんは1989年(平成元年)に亡くなられました。手塚治虫という名前はペンネームですが、周知の変名であるため、作品は死後50年まで保護されます。つまり、1990年(平成2年)1月1日から起算して2039年(平成51年)12月末日までが保護期間です。

団体名義の著作物とはどういうものですか?

著作者が個人か法人かにかかわらず、法人などの団体の著作名義で公表された著作物のことです。

共同著作物の保護期間はどのように計算するのですか?

その著作物の著作者の中で最後に死亡した人の死亡時を基準に計算します。

映画の著作権が消滅したとき、その原作となった小説、脚本の著作権も消滅するのですか?

原作となった小説、脚本の著作権は、その二次的著作物である映画の著作物の利用については、映画の著作権と同時に消滅します。ただし、映画に複製されている音楽、美術などの著作権は消滅しません。

著作権の原則的保護期間が死後50年ではない国はどこですか?

主な国は次のとおりです。
コロンビア(死後80年)
メキシコ(死後75年)
アメリカ合衆国、イギリス、イタリア、ドイツ、トルコ、ハンガリー、フランス、ブラジル(死後70年)
インド(死後60年)
イラン(死後30年)

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