原稿の書き方

カメラ付きの携帯電話やデジカメの普及で、今はいつでも気軽に写真が撮れる時代です。家族の写真、ペットの写真、美しい風景の写真など、自分の撮った写真を集めて、写真集を創りたいと考えている方も多いでしょう。家庭用のデジカメで撮った写真が、そのまま印刷に使えるかどうか心配されるかもしれませんが、写真のデータさえあれば可能です。

大事なことは、写真集のテーマや誰を読者とするのかなどを明確にした上で、使用する写真を選ぶことです。少々手間はかかりますが、これはと思う写真を引き伸ばして、イメージする写真集の見本を作ってみるのもいいでしょう。

写真集の場合、用紙選びも重要です。コーティングされた光沢のある紙を使うか、光沢をおさえたマット紙にするかで写真の質感や仕上がりの雰囲気が違ってきますから、編集者やデザイナーとよく相談して決めるようにしてください。

※写真のデータの解像度は使用するサイズの大きさで300~350dpi程度必要です。それ以下の低い解像度では仕上がりの画像が粗くなってしまうので、適正の解像度があるか確認をしましょう。

絵本は、文章を書く力と絵を描く能力の両方がないと創れないと思ってはいませんか?

絵本の場合、文章を入れることにこだわる必要はありません。絵本の中には、文章のない名作もたくさんありますから、絵だけでストーリーを創ってもいいのです。どうしても文章を付けたいという場合は、制作会社の担当者に相談してみましょう。

一方、ストーリーや文章はできているけれど、絵には自信がなくてという方は、身近に絵を描ける友人や知人がいれば、頼んでみるといいでしょう。少々お金はかかるかもしれませんが、インターネットなどでイラストレーターを探して、交渉してみるのもひとつの方法です。いずれにせよ、あまり難しく考える必要はありません。ご自分のお子様に見せる本なら、少々下手でも、お母さんが描いた絵やその子自身の描いた絵を使っても、十分に喜んでもらえるはずです。

自分史は、自費出版の中でも特に人気のあるジャンルですが、実際に書くとなると、どこから手をつければいいのか分からないという方が多いかと思います。

そんな場合は、まず、これまでの人生を振り返り、印象に残っている出来事を思いつくまま箇条書きにしてください。次に、その出来事を誕生からはじめて、幼年時代、青年時代、社会人時代といったように年代順に並べてみましょう。書き出した出来事に見出しを付ければ、いわゆる目次の完成です。全体の構成さえ決まれば、あとは、目次の項目ごとに思い出を書き綴っていけばいいのです。自分の人生の中で特に焦点を当てたい項目を決めて、その部分にウエイトを置いた書き方をすると、読み物として完成度が高くなるだけでなく、読む人が理解しやすい自分史になります。

日記や写真、手紙などを整理しておくことも大切です。こうした資料が手元にあると、記憶を掘り起こしやすくなり、内容の濃い原稿に仕上がります。

出版物や印刷物の刊行目的や内容により、表記の扱いは異なります。良い文章作りの基本として、ここでは一般的な表記の基準をご紹介します。

[表記整理の原則]

  • 表記の整理

    書籍を読者に読みやすいようにするためには、表記の扱い方にも注意し、本の内容に則した方針で整理・統一していなければなりません。

  • 表記の扱い

    一般的な書籍では、著者の立場を尊重しながら、できあがった原稿の表記に沿って、できる限りの整理・統一を図ります。

  • 表記の基準

    表記のルールには、社会一般で慣用として行われているルール、内閣告示や国語審議会報告、公用文で採用されているルール、その他の団体で定めたルール、出版社で独自に定めたルール、新聞社で採用したルールなどがあります。本の刊行目的や内容、読者層、著者の意向などを考慮しながら、個別の本ごとに一定のルールを定め、それに従って原稿編集作業を進めます。

[表記整理の具体例]

  • 文体

    文体には、いくつかの方式があります。混用することなく、いずれかの文体で統一します。

    • 文語体(古典語):“……せんとする、いまだ……なき”
    • 口語体(現代語):“……である、……だ”
    • 口語体(現代語):“……です、……ます”
  • 漢字の使用範囲

    漢字については、その使用範囲を制限するかしないか、制限するとすればどの範囲とするか、その使用方針を決めて整理します。一般書では、次のような方針があります。

    • 漢字の使用を制限せず、原稿通りにします。
    • 常用漢字のみに限定しないが、なるべく難しい漢字と音訓は避けます。
    • 常用漢字のみを使用します。

    児童物など特殊な場合を除き、“常用漢字表”の範囲に限定する必要はありません。しかし、読者を考慮し、“常用漢字表”を目安にして、難しい漢字の使用は避けたほうがよいでしょう。

  • 用語(漢字にするか仮名にするか)

    学術用語・専門用語では整理・統一することが望ましいといえます。しかし、一般的な用語については、著者の表記の体系は、それなりに一貫性をもって統一されているのが普通なので、なるべく原稿の表記を生かし、読者のなじみにくい副詞、接続詞、形式名詞、補助動詞などの類を仮名書きにする程度にとどめたほうが良いでしょう。

  • 仮名書き

    代名詞、副詞、接続詞、助詞、助動詞などでは、漢字とするか仮名書きにするか問題となる語が多いので、どの範囲で仮名書きとするか検討しておきます。

  • 漢字の字体について

    “常用漢字表”に示されている常用漢字体を用いる。人名用漢字は、常用漢字体に準じた字体がある場合は、その字体を使用します。それ以外の漢字(表外漢字)は、原則として従来からの、“康煕字典体”を使用します。

  • 仮名遣いについて

    原則として、内閣告示の“現代仮名遣い”に従います。

  • 送り仮名について

    基本的には著者の用法に従う。整理する場合は、内閣告示の“送り仮名の付け方”を参考に方針をたてるか、不統一の用語の一覧を作成し、個別の用語ごとに方針を決めます。特定の用語辞典に従うという方法もあります。

  • 片仮名について

    原則として外国の国名・地名・人名、外来語、擬声語・擬音語、動植物名、科学物質名、俗語・隠語、強調する言葉などを書き表す場合に限定して使用します。

  • 外来語について

    基本的には著者の用法に従います。ただし、特に人名などでは不統一になりやすく、別人と誤解されるおそれもあるため、内閣告示された“外来語の表記”を参考に、不統一にならないようにします。

  • ローマ字の綴り方について

    原稿どおりを原則とします。人名などでは、本人の使用状況を考慮し、告示された“ローマ字の綴り方”を参考に整理します。

  • 縦組みの数字表記について

    原則として漢数字を用います。以下に折衷的な表記法を掲げますので、参考にして見やすさ、読みやすさを主眼に一定の方針で整理して使用します。

    • 本文中に使用する数字は、漢数字を遣うことを原則とし、特別の場合をのぞいて、壱・弐・参・拾という数字は遣わないようにします。
    • 単位語は、万・億・兆を入れます。
    • 千万・百万・千・百などの位で終わっている数字は、それぞれの単位語を使います。
    • 3桁、4桁の数字で、1以上の数値が2つ以上あるときは、単位語を入れません。
    • 2桁の数字には、十を入れます。
    • 熟語、慣用の決まった語は、そのままにします。
  • 横組みの数字表記について

    原則としてアラビア数字を使用します。ただし、数の概念から離れて1つの言葉となったものは、漢数字で書きます。以下に折衷的な表記法を掲げるので、参考にして見やすさ、読みやすさを主眼に一定の方針で整理して使用します。

    • 本文中に使用する数字は、原則としてアラビア数字を使用し、万・億・兆の単位語をあわせて用います。
    • 数の幅を示す場合は、桁の省略を行わないことを原則とします。
    • 不確定数詞、十数人、数十個などアラビア数字の表記では誤解を与える場合は、漢数字を用います。
    • 熟語、成句、固有名詞に出てくる数字は漢数字を用います。
      例:二兎を追う者は一兎も得ず
      また、化合物の名称は漢数字を用います。
      例:二酸化炭素
  • 縦組みの単位記号について

    原則として片仮名を用います。ことわざ、史実、または形容詞的に使うところは特別の場合を除きメートル法によって表記します。

  • 横組みの単位記号について

    kg、cmなど、なるべく欧字の記号を用います。一般書にあっては、縦書きと同じように、センチメートル、キログラム、キロメートルと片仮名書きしてもかまいません。

    ※欧字の記号の使用を原則とする場合でも、時間についてはs、min、hにかえ、秒、分、時を用いてもかまいません。

  • 句読点について

    縦組みでは〔、。〕を用います。横組みでは〔,.〕〔,。〕〔、。〕の3種類の方法があるので、方針を決めます。本文中に欧文などが多く入る場合は、それらとの組み合わせから〔,.〕が望ましく、公用文では〔,。〕を使用することになっています。

  • 括弧類について

    種類が多いので、どのように使い分けるか方針を決めて整理します。

    • かぎ、かぎ括弧(「」)

      会話、強調、注意を引きたい語句、引用文などをくくる場合に用います。横組みでは、コーテーションマーク(‘’“”)を使用する方法があります。

    • 二重かぎ(『』)

      一重かぎの中で用いる場合や書名・雑誌名をくくる場合に用います。

    • パーレン(())

      補足や語句の説明をくくる場合に用います。

    • コーテーションマーク(‘’“”)

      横組みにおいて、かぎ括弧や二重かぎと同じように用います。

    • キッコウ、亀甲(〔〕)

      縦組みで引用文中に引用者の補足説明を付ける場合に使用します。横組みではブラケット([])を使用します。

    • 山がた、山括弧(〈〉)

      強調したい語句や、引用文をくくる場合に用います。ルビのついた語句の傍点のかわりとしても使用します。

  • 句読点と括弧の関連について

    文末につく括弧の場合、文章に付属しているときは、括弧の外側、括弧内の文章が独立しているときは、括弧の内側に句点を付けます。

  • くり返し符号について

    漢字1字のくり返しに用いる“々”以外は、原則として使用しないようにします。

  • 特定の商品名について

    必要のない限りできるだけ使いません。“クリネックス”は“テイッシュ”のように普通名詞に変えます。

  • 学術用語、専門用語について

    学会や専門分野ごとに慣行があるので、それぞれのジャンルの用語集や学術用語集、JISの用語規格などを参考に整理します。

  • ルビについて

    ルビや読みをつける対象は、難読の文字、読み間違いやすい文字、当て字、熟字訓などがあります。人名・地名も読みにくいもの、読み間違いやすいものにはつけたほうがよいでしょう。専門用語も初心者にとって難しいので、入門書ではできるだけ付記するよう努めます。

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