旅行記 | 英国一周鉄道知的旅日記 シニア夫婦一ヶ月のロマン

書籍画像「英国一周鉄道知的旅日記」

著者 / 寺内孝

  • サイズ:四六判
  • 製本:ソフトカバー
  • ページ数:356ページ(モノクロ)
  • 発行日:2008年8月11日
  • 価格:1,600円(+消費税)
  • ISBN:978-4-903935-07-2

販売終了しました。

英国社会の研究者である著者が、自らの目と足で確かめた一ヶ月間の英国旅行記!
旅先で出会った人々との交流、英国に関する歴史や文化など、肌で感じた英国を紹介する一冊。

弊社発行の寺内孝著「英国一周鉄道知的旅日記」に記録された寺内様ご夫婦の「旅の思い出」が朝日新聞のアスパラクラブで優秀作品に選ばれました。

内容紹介(一部)

はじめに

どんな人にもいえることだが、僕の場合も生きることにずいぶん悪戦苦闘してきた。1940年生れ、翌41年12月8日、太平洋戦争勃発。記憶は3才末ごろから始まり、核心部分に赤紙、召集令状、出征軍人見送り、供出、空襲警報、防空頭巾、B29、グラマン、焼夷弾、1トン爆弾、・・・。

1945年8月15日無条件降伏。満州事変(1931年)に始まる15年戦争で同胞死者310万人、国土は焦土、引き揚げ者、復員、尋ね人の時間、進駐軍、ジープ、パンパン、浮浪者、買出し電車、サツマイモ、配給、クーポン券、ニコヨン、ララ物資、・・・。

サツマイモなんてものじゃない、イモのツル、ナンバ粉、食用ガエル、亀、コオロギ、セリ、草、・・・。南方の戦地ではトカゲ、蛇、人肉。

理性よりも感情、冷静よりも熱狂、熟考よりも衝動、客観よりも主観、和よりも戦に偏った愚かな指導者たち(政、官、財、言論界の大多数)をいただいた国民はみじめなもの。かくして、いまわが国、原爆ドームが世界遺産、かの国イギリスはウェストミンスター宮殿(国会議事堂)がそれ。彼我の相違に、指導層の知性の落差を見てガクゼン。

あのような生き地獄を母子3人、地を這うように生きた。日々の暮らしに事欠いたから大学なんて雲の上。高校? 冗談じゃない。日々の暮らしに・・・、といったじゃないですか。中学を終えることさえ、ふー、ふー。塗装工、旋盤工、失業、臨時工、・・・。現実社会の寒風にふるえおののき一念発起、夜学へ。この語はもう死語に近づいているが、懐かしい言葉だから使うことにしよう。そして臥薪嘗胆、英語教師になった。

僕の夜学時代、先生たちは学者ぞろいだった。おおいに影響をうけていたから、僕も夜学に就職し、勤めのかたわら英国の文学、宗教、社会、歴史の研究にのめりこんだ。論文を書き、本もかいた。だが、どうももどかしい。わからないのだ、英国が。その1つが地理。地図を広げてみるが、ロンドンのピカデリー、エディンバラ、リバプール、マンチェスター・・・、いったいどこなの? というわけ。よし、行ってやろう、と。貧乏旅、第1の動機。

ことわっておくが、元・高校教師の僕、自分の書き物に無駄を重ねてきたわけではない。フランスの学者が「鷲の目」(‘your eagle eye’)と、アメリカの学者が「鷹の目」(‘the eye of a hawk’)と、イギリスの学者が「真実の探求者」(‘a seeker after the truth’)と、別のイギリスの学者が「世界チャンピオン」(‘the world champion’)と評してくれたのがその証し。4人とも世界的に著名な英文学者だ(注1)

第2は実践英語。今日までいったい何年間、NHKの英語ラジオ講座にくらいついてきたことか。1冊350円ほどの『英会話入門』と『英会話上級』を今も毎月買いつづけ、放送を録音・編集し、来る日も来る日も傾聴、丸暗記する。だが、ヒアリングはいまだにダメだし(50歳代半ばから「難聴」のハンデがあるが)、それに英語の発信の場がないから、いざのとき口をついて出ない。実践のない英語学習なんてエンジンのない車。情けなくって、じれったくて。何とかしなくちゃ、となり、この歳になったが実践の場を求めよう、と。いや、この歳でしか出来なかったのだ(注2)

第3は、紙の知識(教科書、書籍、新聞などからの)は多々あるが、いわば無機堆積物。目で見て足で確かめて、有機堆肥にできれば、と。

第4は、英国の現実凝視。英国は日本の面積の約3分の2、人口は日本の約半分の6021万人。北海と太平洋に挟まれた小国でありながら、かつて世界の覇者、今なお勢威は衰えない。しかも、言語は世界語。繁栄の根っこに奴隷貿易と植民地政策があったわけだが、その英国、どんな国なの? フィールド・ワークで実像に迫ってやろう、と。

こういうわけで、何年もかけて資金を備蓄し、一か月の貧乏旅にでることにした。ついでにいうが、僕は酒、タバコ、パチンコ、マージャン、ゴルフ、賭け事など一切やらない。外食はしないし、喫茶店さえほとんど入ったことがない。車の免許証は持たないから車は買ったことがない。備蓄はその結果。だから「ケチケチ貧乏旅」。

僕のような年齢になると、一か月間家を空けるのには不安がある。自分自身はいうまでもなく、係累のどこかで何かの不安・不都合をかかえているのが通例。その状況下で、「今」という好機をパッと捉えることになった。イギリスでは失敗が無限に待ち受けているだろう。覚悟はできている。青春のなかった僕には、今こそ青春、飛び出してやるぞ!

注1 ‘your eagle eye’と‘the world champion’は拙論「二人の先哲」(『年報 第30号』ディケンズ・フェロウシップ日本支部、2007)参照;下記サイトで読める。‘the eye of a hawk’はインターネット上の「ディケンズ・フォーラム」2006年11月12日掲載(The Dickens Forum, edited by Professor Patrick McCarthy of University of California, Santa Barbara)、‘a seeker after the truth’は2007年7月14日付電子メールの私信で。http://wwwsoc.nii.ac.jp/dickens/bulletin/bulletin.html

注2 英国で使った英語のいくらかを文中に書き記したが、書籍に記す限り、誤った英語を載せるわけにいかないからネイティブ・スピーカー(Laura Thompson; Nashville)の校閲を受けた(ただし、責任はすべて筆者に属します)。これらの英語のほかにもっと多くの英語を使ったわけだが、通じにくいときにはいい換え、いい換えしたし、対話の局面ではおのずと世界共通語の“body language”を使うことになる。ちなみに、ロンドンで出会った日本の若者はイタリア、フランスを経由してロンドンに来たのだが、彼に「イタリア語できるの?」「カタコトの英語とジェスチャーでいけますよ」。若い人にはかなわない。

(以下略)

寺内様からいただいた「お客様の声」

大変努力していただき、
安価で良い本が出来たと満足。

滋賀県草津市 寺内孝様
―自費出版を行うにあたって、悩んでいたことがありましたか?
出版業者の選定には相当悩んだ。だから沢山の業者にメール、電話、資料請求等で情報を集め、選定資料とした。
―弊社を知ったきっかけは何でしたか?
インターネットで見つけた。
―弊社を知ってから、弊社で自費出版するまでに、何か躊躇することがありましたか?
電話で直接照会した時、「信用できる」の心証を得た。
―弊社で自費出版をしようと決めた一番の理由はなんですか?
費用の点で助かったことと、電話での回答が良かったこと。それにホームページに取引銀行が書いてあり、信用の手段にもなった。
―実際に弊社で自費出版してみていかがでしたか?
  • 一箇所だが、校正の不備がある。率直な感想を言えば、校正の点で「やや弱い」の印象があるが、これは当方の責任でもある。
  • 全体として、大変努力していただき、安価で良い本が出来たと満足している。
  • メールと電話の応対で、迅速適切であったので安心できた。
  • 概して、「親切・丁寧・良心的」の印象を持っている。
―再度、自費出版するとしたら、このようなサービス、
このような商品があったらいいと思うものがありますか?
また、弊社へのご要望等ありましたらご自由にお書きください。
  • 書籍の預かりをもっと延長できないだろうか。
  • 書き手は大赤字を覚悟している。出版社もこの点を深く認識し、極力価格を抑えるよう、努力努力努力の姿勢を持ちつづけてほしい。
  • 広告・宣伝で何か良い知恵はないでしょうか?
  • 信用・信頼・安心を第一に頑張ってください。発展を祈ります。
寺内様アンケート用紙その1
寺内様アンケート用紙その2

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